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飛鳥京香/SF小説工房(山田企画事務所)

飛鳥京香/SF小説工房(山田企画事務所)

★消滅の光景と改題●塔ー20070319編集中ー後

★消滅の光景と改題
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n8420gh/
SK消滅の光景■セクター宇宙連邦軍、ビット大佐の目下の悩みは、奴らの流入だ った。まったく奴らミレニアム信徒はひきも切らさず、この星へやってくるのだ。 一体、何のためにこんな辺境の星へ


 カドはチヒロにふとも・らした。‘ノ’…………。
 「さ?き、この皇に互づいだ眸に、私ぼ確か巌?たね」\,.、 .
 「そう、この星には他言が存在しない。そして空虚であるとおっし
?いましたよ」、  、/       士   …………
 「それが、今、こめ星には生命がみなぎってい呑降じなのだ。私達
がこめ大地に着いた時から泉のように湧きだしてきているのだ」
 本部の窓から外をながめていたラミーが、声をあげた。
 「あれだわ。あれが『塔』よ」  ………………
 ラミーの指さす方に、銀色に輝ぐ塔が存在した。塔のまわりを群
集が押し包んでいるよラだ。あちこちの星からこの塔にたどり着く
ためにここに来た人々、ぽろをまとい、祈りを唱えるだけで、何も
せず、人々を殺すこともせず、自らが殺されるのを待っている人々。
 「塔を調べるより先に、グルド視政官の行動を辿ってみなければ」
  チヒロは通路を通っていた兵士に声をかけ指令官代理を呼ぶよう
 に頼んだ。                  ・
 あわてた様子で、一人の少佐が彼らの前に現われた。
 「ムッカ少佐であります。何か不都合がございましたでしょうか。
もし御座いましたら、申しわけございま・ザん。先刻の事件で、皆、
動転し七いるものですから」
 「君がしっかりしてもらわなければ」ヽ          ブ
 「はっ」
  ムッカ少佐は恐縮していた。
 「少し思い出してほしいこと・があ‘るんだ」’
 「何・でしょう」     =Jヽ ……… ………
 「10日程前、グルドという痰咳官が辻七ぃを訪れたはずだ」
                     ー  j    l
 「確かにおいでにな0ましたツビ″ト大佐より、硯咳官は市内の宿
屋へお出掛けになっ’たと聞いております」
 「それから」    ∠ ………  ………
「二、三日、たっても私達の所へおいでにならないので、秘かに市
づ中を採したのでありますが、最初の夜、戻ってこなかったとのこと
なのです」
 {その宿はわかっているのか」
 「はい、タルマジロ通りのキムの宿屋です」
 「わかった。モとへ案内してくれたまえ」           』j
 ヂヒロは3人の方ぺ振り返った。
 「博士達はまだ、ここに残っていて下さい。少佐、それでは頼む」
 少佐は突然、’頼み込むように言った。
 ご「チヒロ中尉、お願いです。情報省のあなたの手で、至急、援軍を
15-
.呼んで下さい。あなたの口添えがあれば、一軍団が来てくれるはず
です。今、この星はほとんど八二″ク状態にあります。ビット大佐
が消えた今となっては手の打ちようがありません」
 「少佐ヽわかっている。今少し、この地球の現状を把握したいのだ。
もう少し待ってくれ。さあ、連れていってくれ、そのキムの宿屋へ」
 キムの宿屋は、到底、エア・カーの入っていけない露地の奥にあ
 った。
 「よし、わかった。歩いていく」
 ぼろをまとった人々が2人の行手をさえぎっていた。人垣をかき
分け、二人は進んでいく。今にもくずれそうな建物がキムの宿屋だ
った。                         1
 先刻から二人の姿に気付いていたキムは知らぬそぶりをしていた。
 カウyターの中から今、気づいたように大声をあげた。
 「こりタ、連邦軍の日】那方。犯罪人なんか泊めちタいませんぜ。こ
 の宿屋はきれいなもんだ。一等地にありますからね」\「
  チヒロは口を開いた。
 「10日程前に、グルドという男が泊ったろう」
 「グルドねえ、ここにはたくさんのお客さまが泊まりますからねえ」
  ムッカ少佐が・.怒り声をおげ’だ。           ゾ  し∠
 「先日、俺が尋ねた時、お前は何と答えたヤー   ノ
 「憶えでおりません。私は記憶が悪いもので」
  チヒロは』黙って、銀河クレジットをキムのカヴyターの上に拡げ
 た。
 「あ、覚えておりますとも」<  ご      <・……
  キムの態度が変った。ツ
 「そうそう、確か宇宙商人の方がお泊りになりましたか。塔の事を
気にしておいででしたよ。こちらの少佐にもお話したように夜中に
お出掛けになったきりです。私の考えでは、ミリアム信徒に殺され
たんじタないですかね」
 「いいかげんな事を言うな、ミリアム信徒が人を殺す意志を持って
いるわけがない」
 「わかった。夜中にグルドが出て行くところをお前は見ていたのだ
な」
 「そうです」
 「何か、変な所以感じなかったか」
 「そう言われてみれば、ふらふらした感じで、そう、何かに操られ
ているような感七で七た」
 「おやじ、今夜はここに泊るぞ」
 チヒロはカウyターに再びクレジット貨を積み上げた。
 「毎度あ刀がとうございます。ささ、こちらです」
 「グ希ドが泊フていたのと同じ部屋を頼む。少佐、すまないが、今
晩は、とこに泊る。カド博士達にそう伝えてくれ」
 夜の帳が降りた’。ミリアム信徒達は宿をとらず、大地の上にその
`まままどろんでいゐ。ド
 迦屋のべ々fの上で鳶がっていたチヒロぼ逆らいようのない力に、
彼も又、浙やつられていた。体が自らの意志に従わないのだ。。彼は
.部屋を出て、J廊下を歩き始める。
  キムは、薄あかりの下、ドアをわずかに開け、チヒロの様子を見
 ていた。静かにドアを閉め、胸を撫でおろした。そしてペッドに潜
-16-
り込んでいる。
「ああ、まただ。俺でなくてよかった.」
 べづドの中でキムは震えでいた。ド
た。チヒロはもんどりうって倒れた。
 が、エア・カーがガーディアyの攻撃を受けていた。複眼から光
が放たれた。エア・カーはうまく光線をかわしていたが、ついに捕
通りの真中に寝そべっているミリアム信徒の聞をすり抜け、かき  まり、エyジy部分が破裂し、急激に落下してくる。
分けながら、チヒロは歩いていぐ。’ノ   ー        、
 意識は、はっきり覚醒しているaだが、肉体をゴyトロールでき
ないのだ。叫び声をあげようにもあがFない。ぐそっ俺はまるでマ
リオネットだ。チヒロはそう思った。一 一
 目の前に段々、塔が近づいてくる。町並が消え、そして、人々の
寝姿も見受けなくなる。  ド
 塔からは一定の距離を皆、保っているのだ。荒地に出ていた。赤
茶けた砂ぼこりが立らている。
 遠くの方からゆっくりとし『た足音が近づい’てぎた。それは、近づ
 落下の瞬間、ラミーは全員をテレポートしたようだった。エア・
カーは大地,に激突し、爆発した。
 チヒロはレイ=ガyを引き抜き、地上のラミーたちの側へ駆け寄
った。
 「急に、塔の力がチヒロに影響しなくなったわ、どうしてでしょう」
 チヒロが尋ねる前にラミーが言づだ。
         f     i       9     「
 ロボットはチヒロ達の方へ敵意をもって歩んできたが、急に上空
を見上げた。
 夜空は円盤機に被われていた。いつの間に飛来してきたのであろ
くにつれロボットの足音だとわかる。ガーディアyでおる。チヒロ  う。.
の身長の3倍はあるだろう。複眼がチヒロの方を観察しているよう
でもある。
 もう塔を見上げなければならぬほど側まで寄っている。
 心の奥に声がしていた。ラミーの声だ。
「チヒロ、上を見て、もっと上よ」
 小型のエア・カーが上空に浮いている。カド博士の姿も見えた。
が、いやおうなく塔ヘチヒロは引き寄せられていく。
 ガーディアジはエア・カーに気づいたようだ。
 逆にひっぱる力が働いてきた。カド博士とラミーの力のようだ。
体がまっ二つに分かれそうだ。どちらの力も強力であった。
 急にふっと塔の吸引力が弱まった。チヒロの体の自由が戻ってき
  一勢に円盤機は地上にいるミリアム信徒の上に爆弾を降り注ぎ始
めた。              ’
 ミリアム信徒達は、泣き騒ぐこともなく、爆弾を受け、死に、あ
るいは傷ついていく。
 三機の円盤既が塔の方へめがけ飛来してきた。光線を放ちながら、
塔へ,急進してくる。
 塔は光線を受けていたが、何の変化もない。
 円盤哉の中から、ホーに乗った滅び0戦士がチヒロ連の方へやっ
てくるのが見える。
「連邦軍はどうしているんだ」
 タクが急に塔目がけて走り出した。
-17-
 八戦士達はガーディアンを見て、ひるんだ。……………
 逃げる間もなく、ガーディアyは両手を振り落とす。にぶい音が
して、ホーもろとも、戦士は押し潰され、肉片の混った機械が、地
面に激突する。   <〈  一
 ラミーとカドの精神的支配から脱したタクは立ち上がり、塔の壁
ににじり寄る。
「いかん、爆発する」   ノ  ………………    /
 カドは絶叫した。    …………………………ニ   し
 閃光が夜の闇を貫いた。と思った瞬間、。そのエ永ルギ↑は塔に吸
収され。逆に塔は自らエネルギtlを解放し、光り輝いた。づすべての
人々はその光に目がくらみ、大地にひれ伏す。
 滅びの戦士の円盤機はモの膨大なエネルギーの流出の前で・、瞬時
に消滅した。
 三、四分の間、誰も動かない。    ごト   \
 大地に倒れているチヒロの側を動くものがある。頭をあげ、、様子
を伺う。
 ガーディアyが塔へ接近する。壁の前まで行ったかと思うと通り
披けた。
 タクは消滅している。ラミーは気を失なったままだ。j’チヒロはカ
ド博士の方を見た。博士は起き上がっている。
「コバルト爆弾の爆破エネルギーをあの塔は吸収したんだ」
「何という恐るべき物体だ」チヒロは独りごちた。
「その恐るべき塔に我々は立ち向わなければならない」
 カドはゆっくりという。
 でどうなっているかわかりませんが」
  チヒロは気絶しているラミーを抱き上げる。幸い、電磁ヤリは横
 をかすっただけのようだ。
怒りの声が聞とえてきた。先刻、チヒロがホーから突き落とした
戦士が発している。      ド  …………
 ド「裏切り者め」
 ご・「そうだ、我々セクタし人o祖先に対する裏切者だ。我々の生存ラ
.イyを立ち切ろラとしでいるのだぞ、お前達は」
………「何だフて」
 「お前達がごの地球に来たおかげで、塔は賦活してしまったのだ」
y 「もっと詳しく話せ、おい」
{ 戦士は口を閉じてしま’った。
 「だめだ、死んでしまった」
 ‘「博士、今の彼の言葉の意味は」
\「わからん。私の意識も混乱している」
  戦士の体はチヒロの見ている前で、灰になった。
 連邦軍の駐屯地も打撃を受けていた。滅びの戦士の円盤機の攻撃
は容赦なかった。チヒロは連邦軍の一軍団を呼ぶことを決意してい
た。そ0考えに水をさすようにカドが言った。
 「君が、TΛでキムの宿へ出掛けた時、私は熟慮の上、″オヤジ″
に連絡をとった。すぐに第一師団を指し向けるように進言した。私
は危機が迫っている事を感じとっていた」
「滅びの戦士の円盤機を全機、消滅してしまったのですよ、あの塔
「ひとまず、連邦軍の宿舎へ引き上げましょう。滅びの戦士の攻撃  は。どんな能力を秘めているか、見当もつきません。それに私はジ
-19-
ョックを受けています。オヤジはタクの体にコバルト爆弾を仕掛け
た。私やあなたやラミーを塔もろとも地球ごと消滅させようとした」
 「3人の命と七クター連邦とどちらが重いのか、’彼は考えたのだ」
 「そう考えるならば、私はあの場合、黙ってコバルト爆弾が爆発す
るのを見ていた方がよかったのかもしれません。が結局塔は徴動だ
にしなかったでしょう」
・「とにかく第一師団が現われるまで、私達に可能な事だけはしてお
こう。まず塔についての過去の記録を集めることだ」
 「そうですね。軍団は第一超高速で巡航しているはずですから、遅
くとも明日の午後には到着するでしょう」・’
 チヒロはムッカ少佐を捜す。軍曹の話では、空港の連邦軍宇宙艦
が、滅びの戦士の攻撃でかなり損害を受けたので、そちらへ出向い
ていると○事。                         ノ
 「軍曹’すまないが・、資料室はどこだね。必要なのはこの地球につ
いての歴史文書だ」                、
 「それなら、司令部の地下に資料室があり、ここの代々の駐屯隊長
が書き残した日記や地球調査団のレポートが残っているはずです」
 部屋に向かうカドとヂヒロは医療ルーム?フミーを見舞う。彼女
はまだ意識を回復せず、ベッドに横だわったままだ。彼らは資料室
へ入る○                 ≒  .  一・
 滅びの戦士が死ぬ前に言い残した言葉も気になっていた。彼ら三
人が地球に到着したために、、塔が賦活しただと。
ガーディアyの中では五人の男達の意識が蘇っていた。しかし肉
体は滅んで存在しない。
「ウ才1カー、ウォーカー」
 ボイドの意識がウ才ーカーの意識を呼んでいた。
 「何だ。ウォーカーか」
 「どうやら千年の年月が流れたようだな」
 別の男の意識も加わる。サグだ。
「もう千年も経ってしまったのか」
「このロボットの中に閉じ込められてな」
「閉じ込められたというのは間違っている」
 クリノが答える。
 「そうだ。我々は自ら、進んでこのロボ″トの意識構造、深層意旗
下へ入り込んだのだからな」
 ラグレが相槌をうった。
 「塔を守るためか」
 「そして、地球帝国が復活するためにな」
 ウt1カーが言った。
「地球の罪が晴れたわけか」
「晴れたわけではあるまい」
「tっだ。、長い牢獄生活から逃れたわけだ」
「務めを果したわけか」
「我での意識が復活したのは、いよいよ扉を開けるための鍵が地球
に到着したわけだな」
「そうに違いない」
-20-
 古文書の中に埋もれ・ていたチヒロは悲鳴を上げている。
『恐るべき事が書かれています、カド博士」      <
 .匪が見えない博士はヽチヒロピ獄示聚与えながらヽチヒロの朗読
を聞いていた。      ` ’゛゛゛“:゛`   ゛  “   ″
「塔はセクター連邦が成立す&前から存在していたらしいと書がれ
てヽいます」.ド
「という事は、我々の文明が宇宙空間へ歩き始める前に超文明を持
った人々が塔を作りあげためだろうか」  『.
 しばらく博士は沈黙していた。
 「ガーディアyについてはどう書かれているダ」
 「ガーディアyも、セクター連邦のロケットが初めて、この星へ到
着した時にすでにあったと書かれでいます。そしてセクター人がこ
の星を植民地とした時も、塔に人を寄せつけなか・ったと記録してあ
ります」
 「ポイド、地球帝国が復活するために、キーに至急、塔に来てもら
 わなければならんた」       ’‘
 「そうだ。ウォーカー。そうしなければ、何も始まらん。キーを呼
 び寄せよう」
 「ルーラーの言われたようにキーに話しかけねばならん」
  今、五人の勇士達の意識を内在したガーディアyは塔の中で、一
 つのスイッチを押した。
  そのスイフアは、千年前、ルーラーが作った暗号コードをキーの
ヽ’心に送り込むためのものだった。           ブ
 資料室の申でガド博士は言った。
 「よし、ごれ かEラミーの力を昔けよう。医療ルームに戻り、彼女
の意識が戻るのを待ち、私と力を合せて、塔に話しかけるのだ。そ
してガーデ、ィアyにも」
 ベッドの上で、依然としてラミーは眠り続けていた。二人はラミ
ーを起こそうと努力する。
 「起きてくれ、ラtl」
 カド博士と.、チヒロの手が同時巴フヽいヽーの体に触れた。
 その一瞬ゴニ人の心に一体感が生じた。それは拡大され、三人の
心はまったく一個体と化したようであった。それは塔からの声を聞

 「,職け、キー達よ。お前達は私の扉を開けるキーなのだ。お前たち
が今、私の前に立つならば、私の内部へ踏み込める。お前達、キー
を生みだす種子は何世紀も前、何世代も前に、ばらまかれていたの
だ。キーたりうる因子は遺伝子に組み込まれ、秘かに何世代にも渡り、
祖先から子孫へ受けつがれできたのだ。お前達は選ばれた者なのだ。
我が前に来たれ、そして新しき世界を生みだすための種子となるの
だ」
 声はとぎれた。三人は我に還った。ラミーも意識を取り戻してい
た。
 「私がセクター星にいる時に聞いた声と同じだわ」
 「何だって」
 「私がセクターの超心理研究所で黙想している時に聞いた声とそっ
くりなの」
-21¬
「そして、その声がチヒロについていき、地球へ行けといったわけ
だな」カド博士が冷静にいった。
 「博士、今の言葉は本当なのでしょうか。私達が、新しい世界を開
くための種子になるということは」           \
 「同時に古い世界が滅びるのだ」
 「古い世界?」
 「そうだ、私達のセクター連邦が滅びるのだ」
 「それじタ、ま?たくミリアム信仰と同じになってしまうじタあり
ませんか」
 「ミjアム信仰は真実だったのよ」
 ラミーの冷え切った声が付け加えた。
 「新しい世界を生む種子が、何世代もの間、遺伝子の中に組み込ま
れていたのよ。それが偶然、表に聊われることだってあるわ。皆、
無意識のうちにこの事実を知っていたのよ。いつか、このセクター
連邦が滅びることをね」
 「滅びの戦士が私達を裏切り者と呼んだのは」
 「本当だったのだ」
 「新しい世界を生む種子は、つまり旧世界を滅ぼす病菌だったわけ
だ」                        ・
 「彼らはより強く、我々の世界が滅びることを知っていたのだ。よ
りはっきりと知っていればこそ、それを覆そうとした、のだ。そして
彼らも地球の塔の存在を知り、攻撃を仕掛けてきたのに違いない」
 「彼らは、祖先霊の助けを得ていためよ」
 「調査船エクスで祖先霊が我々を襲ったのもそのためだったのです
ね」カドは首肯した。  づ  <
15“11 z ss“ il
Q一一希希ーー‘E`
「セクターで、私を襲ったのも、そのためだ」
「じタ、厄はなぜ、セクターで滅び9戦士に襲われなかったのかし
ら」ラミーが尋ねた。
「君は、セクターの超心理研究所にいた。あそこは超能力者の砦だ
からな。彼らも迂閥には手を出せなかったわけだ」
 「今だに信じられない話です」
 「だが、真実なのだ」
 「し’かし、博士、種子というの‘はどういう役目なのでしょう」
 「それは塔に行って見るしかない」
 彼ら三人は塔に向って歩き始める。駐屯本部の外へ出たラミーが
声をあげた。               ブ
 「チ七ロ、見て、空港の方よ」
 さっきまで空港に充満し‘ていた宇宙船の残骸や老朽飛行船がなく
なっていた。
 「塔9力によって消えているのだよ」
 「ええ」‘          ‘             サ
 「塔が、不珀となった旧世界の物質をどんどん消去しているのだよ」
 滅びめ戦士の攻撃を受けて生き残っていたヽヽヽリアム信徒達も、徐
徐に消え去っていく。
 連邦軍の男達も灰になって行く。
 エア・カーも消え去っていく。
 三人は町並を出て、塔を見上げる荒地に再び立っていた。
 塔は先刻より、輝きを増していへるようであった。
 突如、静けさを破り、上空から轟音が響いてきた。空に小さな点
が見え始め、やがて点は拡大し、巨大な宇宙船の群れとなった。
-22-
 一セクターから到着した宇宙軍団だ。
 ・指揮してい蕎oヽは」七ダダL連邦情報省長官オヤジことキド提督だ。
彼の虎の子、第一師団である。    <     、. ノ
 宇宙軍団は地上から}定の距離を置き、空間に停止している。威
圧される感しで.灸?だ。‘ ハ   ノ
 小型の船が降下してぎた。コ二人の目の前に着地する。。オヤジ″
が中から現われた。已…………………
 「裏切り者め、jj4'41も、・,お前もだ」 ヽ
 形相すさまじく、三人をにらみつける。
 「先刻の塔からの呼びかけ、お前連の会話はすべてモー一ターした。
我々には・超能力・者集団がついている。
 お前達が、………新世界の種子だと。何をいうか。小娘と、盲目の老人
と、それに間抜けの青二才が、新世界の種子だと、笑わせるな。我
我セクター連邦が滅びるものか。お前連を絶対、塔には行かせん。
第一師団の総力をあげて塔を吹き飛ばしてやる。さあ三人とも、船
に入れ・おっとテレボードしょうとしてむ無駄だ・・すでに対超能力
バリヤーを張りめぐらしてある。さあ来るんだ」
  軍団の兵士が、ブラス、ターを三人に向けている。逃がれようがな
XO

」二人を収容し、船は飛びあがろうとする。その時、塔の基部から、
ガーディアyが出現する。
 「射て、あのロボットを射て」
 キドは叫ん。だ。船の熱線砲が熱線を放ち始める。ガーデ″アンは
しかし、船へ突進してくる。浮揚状態にあった船へ体当りをくらわ
す。      ト                 ノ……
 船は傾き、内部腹構に異常をぎたすで
 セクターの別o船が応援に駆けつけてぐる。
 対超能カパリヤトが」瞬、破れた。その瞬間、ラミーは隣にいた
カド博士の手を掴み、テレポートした。レ塔の中へ。ヽ
 石、チヒロはT人船にとり残されてしまう。、    ……
 「あいつら、塔の中に逃げたか」    三
 キドほ舌うちする。ご..,・…………
 「しかし、奴・らも塔もろとも消滅だ」サブ
 チヒロの方を向き、\ム尹で打ちすえる。
 「これで助か’ったど恵うなド刄チヒロ」        \
 船はがtディアyを振り切り、上昇する。
 ちょうど塔の上へ船ほさじかかる。
 「見おさめだ。ようく見ておくんだ。チヒロ」
 塔は時の流れ弔逆らう様に、時の果てるまで存在するかのごとく
超然と存在している。まわりの町並、空港は総てかき消されていたい
 下の方ではガーディアyが塔め方へ戻っていく。   ‥
 突如、衝撃が船を襲う。震動が船を揺がす。船は一瞬、粉々にな
り、消滅した。  ぃ         ……・…………
 チヒロは空間に浮んでいた。ゆっくりと塔へ引き寄せられていく。
キドは超能力集団の手により別の船に助けあげられた。
 チヒロは塔の頂点に扱い寄せられている。塔の頂点にチヒロは立
っている。塔は動き始めた。廻っていると言った方がいいだろう。
右廻りに回転している。
 塔は二人のキーが内部に入ったことにより生きかえったのだ。
 そして三人目のキー、ヂヒロは拘へ収容された。
-23-

「そして、その声がチヒロについていき、地球へ行けといったわけ
だな」カド博士が冷静にいった。
 「博士、今の言葉は本当なのでしょうか。私達が、新しい世界を開
くための種子になるということは」           \
 「同時に古い世界が滅びるのだ」
 「古い世界?」
 「そうだ、私達のセクター連邦が滅びるのだ」
 「それじタ、ま?たくミリアム信仰と同じになってしまうじタあり
ませんか」
 「ミjアム信仰は真実だったのよ」
 ラミーの冷え切った声が付け加えた。
 「新しい世界を生む種子が、何世代もの間、遺伝子の中に組み込ま
れていたのよ。それが偶然、表に聊われることだってあるわ。皆、
無意識のうちにこの事実を知っていたのよ。いつか、このセクター
連邦が滅びることをね」
 「滅びの戦士が私達を裏切り者と呼んだのは」
 「本当だったのだ」
 「新しい世界を生む種子は、つまり旧世界を滅ぼす病菌だったわけ
だ」                        ・
 「彼らはより強く、我々の世界が滅びることを知っていたのだ。よ
りはっきりと知っていればこそ、それを覆そうとした、のだ。そして
彼らも地球の塔の存在を知り、攻撃を仕掛けてきたのに違いない」
 「彼らは、祖先霊の助けを得ていためよ」
 「調査船エクスで祖先霊が我々を襲ったのもそのためだったのです
ね」カドは首肯した。  づ  <
15“11 z ss“ il
Q一一希希ーー‘E`
「セクターで、私を襲ったのも、そのためだ」
「じタ、厄はなぜ、セクターで滅び9戦士に襲われなかったのかし
ら」ラミーが尋ねた。
「君は、セクターの超心理研究所にいた。あそこは超能力者の砦だ
からな。彼らも迂閥には手を出せなかったわけだ」
 「今だに信じられない話です」
 「だが、真実なのだ」
 「し’かし、博士、種子というの‘はどういう役目なのでしょう」
 「それは塔に行って見るしかない」
 彼ら三人は塔に向って歩き始める。駐屯本部の外へ出たラミーが
声をあげた。               ブ
 「チ七ロ、見て、空港の方よ」
 さっきまで空港に充満し‘ていた宇宙船の残骸や老朽飛行船がなく
なっていた。
 「塔9力によって消えているのだよ」
 「ええ」‘          ‘             サ
 「塔が、不珀となった旧世界の物質をどんどん消去しているのだよ」
 滅びめ戦士の攻撃を受けて生き残っていたヽヽヽリアム信徒達も、徐
徐に消え去っていく。
 連邦軍の男達も灰になって行く。
 エア・カーも消え去っていく。
 三人は町並を出て、塔を見上げる荒地に再び立っていた。
 塔は先刻より、輝きを増していへるようであった。
 突如、静けさを破り、上空から轟音が響いてきた。空に小さな点
が見え始め、やがて点は拡大し、巨大な宇宙船の群れとなった。
-22-
  軍団のロケット群より、熱線やミサイルが雨あられと射ち込まれ
る。しかし、塔はビクともしない○『‘ .   ″゛      四  I
 塔の中では、先にテレボートしていたラミーとカドがチヒロを待

 っていた。

 「やってきたか、チヒロ」
 「私達の役目を果たす時が来たようですね」
 「そうよ。私達は新世界の種子なのよ」
  三人はお互いに手をとり合って塔の中心部へと向っていく。
  軍団の攻撃は扨分も統いただろうか。
  キドは助け上げられた船の中で第一師団に命令を下していた。彼
は手段を変えることにしたo                   .
 「よし全船、安全圏まで脱出せよ」           ド
 船団は一勢に全力発進を行ない地球か.ら股出した。 j ]   ‘ ’
 キドはN作戦の了解をセグター議会にとった。
 「X作戦を敢行する」キドは叫んだ。
  ノヴァ (新星)が遠い宇宙空間から引き寄せられ、赴球めざして
突き進んで来たo             ・‘
           fー    ″ 一
 yヴァを地球と衡突ぎせ、地球を消滅させようとするのだ。
 実際、今までの作戦で、数限りない星が、この惑星爆弾により宇
ぎの星くずと化してぎたの.だった・       “y    ゛ ヘー ゛
 しかし奇跡折おこった。爆発はおきなかった。
 ノヴァは地球と合体した○  ・‘      ‘    ・
                                  ー
 塔の中にガLデfアyは居た。五人の男の意識は喜んでいる。
               ー“  ー 、d  皿               一四
 「新しいノヴ″のエネルギーが注入された」
 「ルーラーによって滅んだ地球に新しい命が注がれた」クリノの意

識が言う。
 「そろそろ人間を復活し始めた方がいいのではないか」ウォーカー

が言った。
 「始めよう」ポイドも賛成だ。
 五人の意見が一致した。
 地球人一万人の生命データが塔の中央知性集積機構にマイクロ化
され保存されていた。
 今までに、地球上で消滅させられたセクター入のプラズマ化され
た分子から人間0‐体が再構成され始めた。個々人の地球人のデータ
が送りこまれるのだ。
 地球粧人類の誕生だ。

 「まて、まて、まずアダムとイブだ」
 サグ齢その作業を停止させた。
 アダムとイブには、すでにプラズマ化され消え去っていたチヒ匹
     一    a7       1
とラミーの物質が使われた。
 「この二人には地球人のデータを送り込まないでおこう。彼らの知
性を使おう。それが、これから滅ぶ全セクター人への贈り物だ」
 アダムとイブが塔から外へ送り出された。
 地球はノヴァど合体する事により、命あふれる星に変化していた。
 緑が塔のまわりにあふれ、大地は生命に照り輝いていた。
『 帝掴、〈セクターのキドは地球の上に再び降り立っ
ていた。彼はあたりの風景を見て驚いていた。
 塔の鼓脹ピ穴が開き、失粉が二匹出てきた。
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 その生物は彼らセグター人が目にした事もない生物だった。二本
の手、土本の足、頭部が最上部に存在し、肌は赤みがかっている。
 何とも形容しがたい奇妙な生物だった。セクター人の複数の肢と
うろこ状の青い肌ど比べれば、何と醜い生物だろう。
.『その生物はキド0.前にとまり、堂々とした声で言った。
「キド、あなた方、セクター人の時代は終った。これからは我々の
時代だ」
 キドの体は徐々に崩れ始めた。最後の一瞬キドの意識は、塔から
送り込栗れた情報で、すべて理解し、彼の体は消滅した。


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